潰瘍性大腸炎で大学中退したけど、臨床検査技師になれた話

潰瘍性大腸炎

この記事では、私が潰瘍性大腸炎で入退院しながらも、最終的に臨床検査技師という国家資格を取得して、働くことができたというお話をしていきたいと思います。

現在、潰瘍性大腸炎で苦しんでいる方、学生さんや、その周囲の方などに私の経験が参考になれば、と思います。

潰瘍性大腸炎とは?

まず、潰瘍性大腸炎という病気について簡単にですが説明しておきます。

潰瘍性大腸炎は大腸に潰瘍やびらんができる炎症性腸疾患です。特徴的な症状としては、血便や下痢、腹痛、発熱などがあります。潰瘍が直腸だけにできる人もいれば、大腸全体にまでできる人もいます。

病気の原因は不明で、難病に指定されている病気です。

私は全大腸型で中等症と診断されました

私が潰瘍性大腸炎と診断されたのは、高校3年生の時でした。もともと小さいころから胃腸が弱く、中学生のころには、「過敏性腸症候群」と診断されていました。

「過敏性腸症候群」と診断されて以降、ときどき血便がでていたのですが、それほど気になるほどではなかったのでスルーしていました。

今では、「もうその頃から予兆があったのだな」と思っています。

ですが、高校3年生の終わりごろ、腹痛とともに下痢や血便がでるようになり、さすがにスルーできるほどではなかったので病院に行きました。

診察や、内視鏡検査の結果、「潰瘍性大腸炎」と診断されました。そして私の場合、大腸全体に炎症ができてしまっていたので、「全大腸型の中等症」と伝えられました。

難病と言われたのにはショックでしたが、処方された薬を飲み続けることで、症状が善くなったのでそれほど気に病んではなかったです。

それと、臨床検査技師を目指していたのもあってか、病気に関する知識が増えてラッキーとさえ思ってました(笑)

ですが、大学在学中、だんだんと薬が効かなくなっていき、ついには入院をすることにまでなってしまいました。

さあ、ついに華の大学生活がスタートするぜ!と期待に胸を膨らませていたのに、実際は入退院の繰り返しと通院生活で、落とした単位取得に追われる日々でした…。(ホントにそんな生活しか思い出せない笑)

潰瘍性大腸炎の私が臨床検査技師になるまで

はい。それでは本題に入ります。

潰瘍性大腸炎で入退院を繰り返していた私が、無事に臨床検査技師になるまでの話をしていきます。

女子大生、おしめを穿いて通学

いきなりヤバい見出しですね(笑)。でも、事実です。

初めて入院したのは、大学1年生の夏休み直前のころ、前期の定期試験を控えていた時です。

腹痛で、トイレに行く回数が1時間に2回とかそんなペースで、下痢か血便がでていました。しかも、便意が突如としてやってくるんですよ、コレが。だから、おしめを穿いて通学していました。

19歳という若さでおしめを穿くことになるとは思ってもみませんでした。でも、調べると潰瘍性大腸炎患者あるあるの一つみたいですね。服で隠れているから周囲には分かりませんが、とても恥ずかしい気持ちになったのを覚えています。と同時に「便意が来ませんように!」と祈りながら満員電車に揺られていました。便意が来たときは、電車のドアが開いた瞬間、急いでトイレを探しにいきました。しかも自宅から大学まで片道2時間かけて通っていたので、もう地獄ですね(笑)それで、何回か遅刻もしました…。

私がなぜそこまでしたかというと、定期試験を控えていたからです。とりあえず、試験が終われば夏休みにはいるので何とか切り抜けようとしました。

…ですが、その甲斐もむなしく残り1科目受けられず、入院することとなりました…。(幸い、退院後に別室で私だけに特別に作られた試験問題を用意して頂き、受けることができました。)

入院するころには、試験とかどうでもいいくらい、とにかく憔悴しきっていました。食欲がないのに、下からは出ていく一方だったので、体重が38㎏まで落ちていました。私の体型だと、標準体重ってだいたい55㎏くらいなんですが、それと比べるとかなり低いです。自分でも、腕とか触ったときに骨の形が分かり、ゾッとしたのを覚えています。おしりも肉がなくなって、車いすに座ったときに骨がグリグリあたって痛かったのを覚えています。

入院は一か月くらいしていました。最初の2週間は絶食で、ステロイドと点滴で治療をし、なんとか寛解できました。

その後は薬を変えたのでおかげか、暫くの間入院するほど体調が悪くなることはありませんでした。ですが、常に便がゆるく、1日2~3回トイレに行っていた気がします。明らかに以前よりも疲れやすくなりました。また、GCAPという治療をしに通院していた時もありました。この治療は、鉛筆の芯より太い針を両腕に刺さなければいけなく、それを連続10回ほど行うので、腕が青あざだらけになりました💦バイト先の先輩に、「虐待されたの?!」と驚かれたのを覚えています。

そんなこんなでうまくやり過ごしていくはずだったのですが、約1年後、体調が悪くなりまた1か月の入院をすることになりました…。

大学生活では、計2回の入院をしました。

授業が多すぎなのと厳しい学則で単位とれない

1か月の入院を2回したくらいなら、退学するほどじゃないんじゃない?

そう思う方が多いと思います。

答えは、NOです。

入院した時期が実験、実習が集中している時期だったので、単位が取れないし、次年度で取ろうとしても、授業が多過ぎて不可能でした…。

私が専攻していた学科は、臨床検査技師と栄養士の2つの資格を取得しなければならかったのです。

この2つの資格を取得するとなると、4年間で190単位近く取得することになるんです…。

大学生の4年間の平均単位数で調べると、124単位とかでてくるので、それと比べると多すぎです(笑)

それに加えて、入院した時期が実習や実験が集中していたんです。

例えば、一つの実習があるとしたら、連続して5日間とか、10日間で終了って感じで組まれていたので、その期間一か月休むと、実習がまるまる受けられなくなり、単位を落とすって感じです。

で、来年度に受けようと思っても、また別の実習やら実験が入っているので、受けられないんです。

しかも、その学科、臨床検査技師と栄養士2つの資格を取得しないと卒業できない、という厳しい学則があったんです。臨床検査技師だけでもいいってなれば、何とか4年間で卒業できたかもしれませんが、栄養士もとなると、厳しすぎです。

そうなると、留年するしかなくなってしまうんですよね…。

大学の学費が高くて留年できない

じゃあ留年するか、という選択肢は当然出てきましたが、私には非現実的でした…。というのも、私立の大学だったので、学費がえらい高いんです。奨学金も結構借りていたので、これ以上借金を増やしたくないなとも思いました。それに、体調も不安定だったので、留年したからといって、また入院することになって、結局ずっと卒業できませんなんて自体を考えたらゾッとしました。

恩師から専門学校への編入を薦められる

結局、1人ではどうしたらいいか決められず、担任の先生に相談しました。以前から、体調を気遣ってくださっていて、相談した時も親身になってくれました。大学が、医療や栄養学を専門的に扱っているだけあって、先生方はみんな私の病気のことに理解を示してくださって、授業の途中でトイレに行ったりするのも、いきやすかったし、そのような点はとても恵まれていたな、と思います。また、大学の友人もみんな良い人で、休んだ時のレポートやノートを快く見せてくれたり、本当に助かりました。

先生からは、「何かいい方法がないか考えてみる」との回答が。

そして数日経って、「専門学校への編入を考えてみてはどう?」という返事が返ってきた。

聞けば、その専門学校は、先生が講師として勤めている学校だった。

自宅から通いやすく、学費も安い。

私の体調や、金銭的事情を考慮してくれてのことだ。

専門学校なら、あと2年間通えば卒業可能とのこと。その時、大学3年生だったので、あと2年大学に通うより、圧倒的にコスパが良かったのです。

また、先生からは、「潰瘍性大腸炎という病気なら尚更、無資格で大学を卒業するより、臨床検査技師の資格を取ったほうがいい!」

ということを言われました。難病なので、今後も善くなったり悪くなったりを繰り返すかもしれない病気なので、資格を持っていたほうが絶対働きやすいのだそうだ。

臨床検査技師なら、医療従事者だから、病気のことも理解してもらいやすいし、そういった職場はある、とのこと。

専門学校の先生にも事情を説明して、全力でサポートしてくれるとのことでした。

一旦家に持ち帰り、家族に相談した結果、専門学校への編入を決意しました。

本当に先生は私のことを、卒業してからの先の将来のことまでも考えて下さって、ありがたかったです。今でも忘れられない恩師です。

専門学校生活でまた入院するも、無事卒業

専門学校での生活は、新しい薬が合っていたおかげか、体調が安定していて、順調に単位を取得していきました。

と思っていた矢先、専門学校生活2年目の夏、また1ヶ月の入院をすることに…。臨床検査技師の国家試験を半年前に控えていた時のことでした…。

今まで順調にいってただけあって、この時はかなり自信をなくしました…。

ですが、単位はほとんど取得できていたので、なんとか国家試験を受験できました。

そして無事、合格!

専門学校も卒業することができました。

専門学校でも、自分のために特別授業を開いてくれたり、体調の悪い時は気遣ってくれたりと、本当にお世話になりました。感謝しかないです。

まぁその分、何としてでも国家試験に受からなければ、というプレッシャーはありましたが、達成した時は、「やっと終わった…」と安堵しましたよ。

さいごに

私は現在は、現役の臨床検査技師として病院で働くことができています。今のところ、奇跡的に入院などはせずに働くことができています。

ずっと欠かさず薬は飲んでいますが…。

もし、あなたが潰瘍性大腸炎で体調が優れなかったりして、進路に迷っていたら、この話が少しでも参考になってくれればな、と思います。

困った時は、まずは身近な人に相談してみて下さいね。自分では思いつかなかったことをアドバイスされる可能性もあります。

今はネットで簡単に調べることができる時代になりましたし、解決策は何かしらあると思います。

一つ、後悔?というのがあるとすれば、こんなことになるなら、最初から専門学校に行っていたほうが、資格は取れるし、金銭的にも負担がなかったな、ということです。ですが、私の場合、病気が悪化したのは大学に入学してからのことだったので、仕方ないんですけどね。

大卒か、専門卒かで給料とか、扱いが変わるんじゃないの?って思うかもしれませんが、実際働いていて感じることは、「全く関係ないし、気にならない。」ってことです。大卒でもできない人はいるし、専門卒で優秀な人もいます。働き出したらそんなこと関係なくなります。なので、体調が不安なうえに、金銭的な事情があったりするなら、はじめから専門学校へ行くという道もオススメですよ。

長くなりましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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